この頁では、国内住宅業界の現状を踏まえて、皆さんの貴重な資金を有効に活用される為の一つの方法をご紹介致します。頁末に工事店・工務店選びの具体的方法をご紹介致します。
住まい造りにおける価値観は人それぞれですが、ここにご紹介します方法をご納得され、実行されることで、ある面で無駄な費用を使わず、より良質な住まい造りを実現することが可能となります。
1.はじめに
住まい造り計画の際、工事業者様を選ぶ場合の一つの選択基準として、不安な気持ちが先立ち、工事業者様の知名度と信頼度を重要視される事でしょう。
ある面で当然の選択肢であり、「工事完成迄の安心と信頼を得、工事後のアフター対応が信頼できる、大手ハウスメーカー・ビルダー、大手リフォーム会社・リフォームチェーン店様等から工事業者様をお選びになる方が多いのでは?」と推察します。
ですが、その安心と信頼を得る為の皆さんの工事業者様の選択基準こそが、新築工事やリフォーム工事費を高額にする原因の一つにもなっている事をご存知でしょうか。
もし、貴方がお住いの工事を大手ハウスメーカー・ビルダー、大手リフォーム会社・リフォームチェーン店様等に依頼せず、工務店様か各工事業者様に直接工事を依頼されると、30坪(100㎡相当)規模の新築工事や70㎡~80㎡規模のマンションリフォーム工事(通称スケルトンリフォーム:間取や機器・仕上げの全面変更のリフォーム工事)費を確実に150万から300万の額を削減可能です。
その理由をこれから分かり易くご紹介しますが、工事費用削減可能な根拠は、国内建設業界の業態(業界全体の組織の仕組み)に有ります。
それでは、その理由となる根拠を以下に具体的にご紹介しましょう。
これからご紹介する内容は、住宅系の建築設計事務所で設計・監理の経験を積み、大手ハウスメーカー営業設計を経験し、更に大手住設メーカーのリフォームチェーン店でリフォーム設計・監理を担当し、現在は大手ハウスメーカー監理技術者として勤務する一級建築士が自らの経験を前提に記す内容です。
2.国内の一般産業界の業態
どのような業界も、その業界の中で営業・製造機能を備えたメーカー様等の会社が多くの利益を確保する事は、皆さんもご存じの事で納得される事でしょう。
一般的商品は、メーカー様から問屋(販売特約店)様を経由し各地域の販売店様を通じ、皆さん消費者様が購入される流れで物(商品)が動き、逆の流れでお金が動きます。
一般的な商品はその殆んどが、リフォーム工事費と比較するとその額は極端に小さいく、さほど皆さんの生活に影響しないのですが、リフォーム費用(工事費)は非常に高額な為、皆さんの生活に及ぼす影響がとても大きい事になります。
3.建設業界の業態を知る
建設業界の業態は、一般的に元請と称される大手ゼネコン・ハウスメーカー・大手リフォーム会社様を窓口に、皆さんとの工事請負契約が締結され、元請様配下として実際に工事の元締めとなられる工務店様が元請様との請負契約をされ、更には工務店様の協力工事業者様と称される、多数の各種工事業者様へ実際の工事が依頼され、工事毎の契約が締結される流れとなります。
皆さんの住まいの完成迄には、多くの工事業者様が関与される事になります。
4.建設業界の機能を知る

S造 軽重鉄骨
元請様(大手ゼネコン・ハウスメーカー・大手リフォーム会社様:以降元請様と記す)の機能としては、営業(お客様との打合せや交渉窓口)・広告宣伝・工事保障等々を機能され、工務店様は営業・広告宣伝機能を除外した、住まい全体の各工事の手配・工事保障・現場管理に対して機能し、各工事業者様は担当される業種の工事内容の実施・工事保障機能を果たす事となります。
お住まい工事の多くの場合は、元請となる大手ハウスメーカー・ビルダー、大手リフォーム会社・リフォームチェーン店様等は契約までの皆さんとの打合せが主要な業務となり、実際の工事に係わる割合は極めて少なく、実質は工務店様がその工程・品質を含めた管理を行うのが実態です。
つまり、工事契約迄の間取り・仕上げの打合せから決定、工事費用、工程(工事日程)等が決定される迄の内容が、元請様以外で実施可能であれば、元請様は不要な場合が多いのです。
5.建設業界の利益割合はどの程度か?
建設業界の各段階での利益の割合は、元請様として、皆さんへの提示価格(見積書の合計金額)の20%から30%程度確保され、その下の工務店様で、元請様への提示価格(工事請負額)の15%から25%程度確保され、その下の各工事業者様は、工務店様への提示価格(工事請負額)の10%から15%程度の利益割合を確保されています。尚、ここで記す利益とは人件費等の必要経費を除外した額です。
前述の利益の割合は、一般的な数値であり実際には数値以上の利益を確保される元請様もあり、逆に、実際に工事に直接係わる工事業者様は、前述の数値以下の場合もあるのが現状です。
ある面で当然ですが、どの業界も業態はほぼ同じで、メーカーや元請様が一番利益を確保され、下になればなるほど利益の割合は少なくなる傾向となります。
6.住まい造り計画を検討される皆さんが行動すべき事
戸建やマンションリフォーム計画をこれから予定される方々が、一番先に行動される事は、工事を依頼できる信頼がおける工務店様を探し出す事です。
それこそが、住まい造りの工事費を大幅に削減させる唯一の方法です。
つまり、元請様に工事依頼せず、実質全体の工事を統括される地域の実績と信頼がおける工務店様に工事依頼する事が、30坪(100㎡相当)規模の新築工事や70㎡~80㎡規模のマンションリフォーム工事費を150万から300万の額を削減する方法となります。
そうは言っても、『信頼がおける工務店様をどのように探し出すか?』、『間取りの提案内容など不安もある』と言われる方も多いでしょう。
そのご不安やご心配を解決する策として、これから二つの方法をご紹介します。
それでは、その一つ目の方法を具体的にご紹介しましょう。
7.工事店探しの具体的方法①工務店様の設計・施工機能を活かす方法
1)工事対象建物が所在する現地付近の設計機能(出来れば建築設計事務所登録済み)を備えた工務店をインターネットで検索して探しだす。(1980年代~1990年代の工務店様は工事機能のみが多かったのですが、2000年代以降では建築士の資格も取得され、設計・施工ができる優良工務店様が増えています)
2)探された2~5社程の候補工務店様が施工した新築・リフォーム(戸建・マンション)建物を見学(事前に工務店様に打診・承諾を取付ておく)し、住まいの質の程度を確認し、住まわれる方々の評価や感想をお聞きする。
その際に参考となるのが、住宅系建築設計事務所か著名建築家のHP(ホームページ)の作品写真を閲覧し、建築士がかかわる建築の質の程度を知っておく事が大切です。特殊な空間や高価な仕上げ材などではなく、窓・出入口の枠廻りの材質や収まり(見た目の出来映え)や扉・ハンドル等品質、収納庫の内外廻りの材質や収まり(見た目の出来映え)、照明計画など。
3)実際に工事をした際の設計図書(平面図・立面図・展開図[室内から見て壁面の図面]・詳細図面・給排水や電気設備設計図など)を見て、図面と建物間取りや外観・室内空間を照合し確認する。
施工品質の見方の基準として、ドア・窓の枠廻りにゆがみが無く、壁の仕上げとの隙間が無く綺麗に納まっており、チリ(巾木[壁面下の帯状の板材]やドア枠の壁面からの出の寸法など)が一定の寸法でゆがみが無い等、が一つの見方になります。更に、床が平らで凹みや膨らみが無く床と巾木間に隙間が無い事。
4)候補の工務店様数社(最大三社が限度)に、おおよその予算を提示し、まずご新築やリフォーム後の間取り提案を依頼する。予算が足りない場合は、その予算調整提案内容を同時に提示するように依頼する。
5)相見積(数社同時に見積依頼する事)を前提に、提案されて一番気に入った一つの間取に対し、複数候補(最大三社が限度)の工務店様に見積依頼する。
6)工事見積額を参考(見積提示価格の高低のみでは決定しない事)に、工事工程・工事費支払条件・工事保障・瑕疵保険加入可否・アフター対応・仮住まい他を確認し、最終判断(判断基準の目安:建設業登録業者・創業はできれば古く長い・入居者の評価が高い・相談や打合せの過程でミスや嘘が無く信頼感がある・地味で派手さが無いなど)をする。
その際、決定前には必ずネット等を活用し、候補の工務店様の不評内容がどのような内容かを確認し、過大表現される不評も有りますので、不評された方の内容が事実か否かを工務店様に直に確認し、最終判断をされる事が大切です。
【ご注意!】
新築工事は、一般的に工事請負総額が500万を超える場合が殆どですが、リフォーム専門の業者様の場合は、請負工事額(一つの工事の請負金額が500万未満の工事業者様が対象)等によって、建設業登録無しでもリフォーム工事ができる場合もあり、信頼の面からは、きちんと建設業登録をしている工事業者様を選定対象とした方が賢明です。
如何でしょうか、皆さんは新築戸建住宅やマンションリフォーム計画の際に、工事の依頼先として工務店様をその工事候補にあげる可能性がみえてきましたか?
7)工務店様に対して、それでも尚、工事内容において手抜き工事等が無いか、提案間取りなどご心配な方は、工事費が150万までは削減できなくなりますが、大手リフォーム業者様に依頼するよりはリフォーム費用を削減できる、二つ目の方法として新築戸建住宅やリフォーム設計を対応される建築設計事務所を介して住まいが完成するまでの工事を設計・監理機能と施工管理を分けて(業界用語通称:設計施工分離)計画される方法を『貴方好みの設計事務所の探し方』頁でご紹介しましょう。
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※一歩ずつ、少しずつ、確実に、貴方の住まい造り計画が前に進み、理想に近づく事を願っています。