この頁では、住まい造りに欠かせない『住まいの通風対策』をご紹介致します。
特に、マンションリフォームをご計画される際、外気に面する窓は、既存そのままの状態で対応するしか方法が無く、如何に通風を快適にし、住まいと住む人が心地よい風を感じれるかが課題です。
毎年、真夏日の記録を更新するような環境となり、海の影響を受けやすい日本では、昔から『家の作りようは夏を旨とすべし!』と言われていますが、個人的には、本当に深刻な状況を迎えざるを得ない事態を迎えたと思います。
設計士として極力エネルギーを消費せずに、住まい造りの中で解決する方法を模索し継続する覚悟です。
1.小さく狭い島国日本の風向きとは?
”狭い島国日本の風向は、暑い夏は『南東』、寒い冬は『北西』から風が吹くのが基本です。以下の資料は、それを裏付ける気象庁の関東地区データです。
”このデータからは、夏は南南西から南南東の向きから風が吹き、冬は北西から北北西の向きから風が吹く事が確認できます。
ご計画地の各地域の風向きは夫々異なりますので、皆さんは、インターネットを活用し、検索サイトで『地域名称+風向き』でデータを検索し確認され、建設地の風向きをご確認する事が必要となります。
2.建物所在地周辺の環境が影響する
皆さんは、街中を歩かれ、ある場所で瞬間に風を感じたり、地域のある個所を歩くときは必ず風が吹いていたりするなどの経験をされた事はないでしょうか?
これらの現象はビル風に代表される類似の現象で、風の発生や風向に関して、建物周辺の様々な要因が影響している事の一つの現象の場合があります。
周辺環境の影響として、建設地付近の河川や海の存在と位置関係、敷地に接する道路状況(幅員と方位、街路樹の有無)、広い公園の存在と位置関係、周辺建物の平均的高さを超える建物の存在(中高層マンション)などが有ります。
前述1項は、日本の各地域の風向きで通風計画時の基本的な確認内容ですが、『通風計画では、更にご計画する建物の周辺環境の影響を調査する必要』が有ります。
具体的には、土地からご購入され戸建住宅を計画される方や、中古マンションを購入されて住まい造りを計画される方は、建設される現地に足を運ばれ、ご近所の方々に『夏の風の発生状況と風向きとその方の住まいの所在(位置)』を聞き取り調査される事が重要です。
此処までのステップで、通風対策の一つである『立地条件による風の制約』が確定した事になります。
3.通風対策の具体的方法とは?
前述の二つの項目を前提に、風の入口が想定されますので、此処からは建物単体の通風対策を如何に計画するかその具体的な方法をご紹介致します。
マンションリフォームの場合は、戸建の住まい造り計画と異なり、前述の二つの項目を確認された時に、夏場の風向きが今お住まいのマンションかこれから購入される予定のマンションの窓開口部が、風上側についていれば通風計画の初期段階をクリアしたことになりますが、そうでない場合は、少し難しい事になり、夏は通風計画以外のエアコンなどを活用した人工的な暑さ対策を講じる必要があります。
以下の記載内容は、戸建住宅とマンションリフォームに共通する内容以外は、(K)は戸建住宅、(M)はマンションリフォーム計画での通風計画対策としてご覧下さい。
1)平面上の通風計画|
風の入口(建物外周壁面)と出口(可能であれば建物外周壁面か間仕切壁・出入口扉の通風孔設置)を玄関・廊下を含めた各部屋に設置する。⇒風の回遊性(風上から風を取り入れ、風下から風を通し逃がす風の流れ)を活かす方法。(K)
2)前1)項の手法|
例えば北側の部屋で狭い空間の場合(例えば洗面・脱衣室など)などは、その空間への出入口扉自体が風の取込み口からの風の入口となり、北側などの外周壁面の窓開口部が風の出口となる場合があります。(M)
何れの場合も、風の通り道(風上:取入れ⇔風道⇔風下:出口)を確保する事が基本です。
3)断面上(建物空間の上下)の通風計画|
1階は、掃出し窓(床の高さからの窓)を含め低い位置に風の入口窓を設置し、階上には1階と2階の暖まった空気がぬける為の風の出口を高い位置に設置する。⇒空気の温度差(暖気は上昇し寒気は下降)による対流効果を活かす方法です。(K)
4)前3)項の手法|
同一階の場合でも、風の出口(窓)を高い位置に設置する事で、夏場は室内上部の暖まった暖気を排出する方法として有効です。(K)
5)風を取込窓の採用|
次に、風の取込み方法を工夫して、ウィンドキャッチャー効果がある窓(縦滑り出し窓・開き間取:外壁面から突出し、壁面を伝う風を採り入れやすくした形状の窓)を配置計画し、積極的に風を取込みます。(K)
6)建物内部の通風|
更に、建物内部の風通しを考慮し、扉開閉時は当然の事、扉が閉まっている時でも風を通るように扉に通風孔を設置するか、扉上部に風通し用の欄間などを設置し、就寝時の風通しの効果を図ります。(M)
7)部屋間の通風①|
共有廊下が外部に面するマンションの場合は、バルコニー側と共用廊下側に窓開口がある場合が多く、バルコニーから共有廊下の奥行があるマンションでは、直接ベルコにーか廊下に面しない中間部に部屋(納戸などと記載される場合もあります)ができる場合もあり、そのような時は各部屋間に通風用の内窓を設け、風の通り道が途切れない工夫を施します。(M)
8)部屋間の通風②|
住まい全体の間取りによりますが、風の通り道を確保する為に、各部屋の間仕切壁の上部(天井面付近)に風通し用の欄間を設け室内扉の通風孔との組合せを考え、風を対流させる工夫もあります。(M)
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※一歩ずつ、少しずつ、確実に、貴方の住まい造り計画が前に進み、理想に近づく事を願っています。